農と食のタネ

米・野菜の自給自足のススメ〜田舎では割と当たり前〜

自給自足はみんなやってる

「田舎暮らしをしたい」と考えている方の多くは、「少しでもいいから食べ物を自分で作って、自給自足の暮らしを始めてみたい!」と思う方が多くいらっしゃると思います。

日本の食料自給率は、農林水産省のデータでは令和3年度カロリーベースでわずか38%。これは食生活が変化して、小麦や肉を多く食べるようになったからと言われています。

タネヨメ

私も都会に住んでいたから、少しでも食べ物を作って自給自足の暮らしを実践してみたい!と思ったけど、実際にどのくらいの面積の畑や田んぼが必要かわからないし、農機具もそろえないといけないと思うと、ハードルが高くてなかなか挑戦できなかったのよ。

タネ

食料の自給自足については、しっかりポイントをおさえれば誰でも始めることができるよ。

この記事でわかること

1.自給自足のメリット3選

2.自給自足に必要な田畑の大きさ

自給自足のメリット・デメリット

メリット

旬の時期を知り新鮮なものを旬に楽しむ

普段都会で暮らしていると気づきませんが、当然のことながら米や野菜にはすべて「旬」の時期があります。

最近は促成栽培(ハウスや温室を利用し、人工的に温度を上げることで出荷時期をずらす)やLED水耕栽培などにより、生きものとしての「旬」の時期がわかりにくくなっています。

自分で作物を栽培してみることで、本来の「旬」の時期を知り、新鮮なものを「旬」に食べる幸せを感じることができます。

タネヨメ

旬にとれた自家用野菜は、スーパーで買うのと違って本当に美味しいのよ!自分で作ったという満足感もあるけど、新鮮で美味しさが全然違うよ。

経済的メリット&暮らしの安心感

自給率を高めることで、まずその分買う量が減ります。

また自分で作ることで作物の本来の旬の時期がわかることから、スーパーで旬でない高い作物を買うことはなくなります。

収穫時期にとれたもので、日々の生活の料理を構成することにもつながり、とっても経済的です。

無駄なものを買わない節約暮らしにつなげることができます。

タネヨメ

都会に住んでいるときは、「今日何作ろうかな?」から買うものを決めていたので、野菜も旬でない高いものを買っていたわ。でも今は「家にこれがあるから今日はこれを使って何作ろうかな?」という思考に変わって、無駄なものを買わなくなったよ。

また日本は世界的な原油価格の高騰や国際情勢の影響を非常に受けやすく、食料価格の変動が起きやすい環境下にあります。

すべての産品を自給自足することは難しいですが、米や野菜は他の作物に比べて作りやすく、自給率を高めることが可能です。

自分の家の自給率を高めておくことで、食料の価格変動リスクを最小限におさえることができ、暮らしの「安心感」が生まれます。

タネ

田舎(特に山間部)の市町村の平均所得は都市部に比べて低いけど、だからといって生活水準が低いようには僕は全く見えないなぁ。

家は立派だし、車も普通だし、旅行にも行ってるし。

収入やお金の使いかた・価値観はそれぞれだけど、僕はその要因の一つは各家庭の食料自給率の高さにあると思うな。

自家用の米や野菜は、事業としてやっているところは自家消費分も確定申告されているけど、そうでないところもたくさんあるので、数字には見えない+αの所得があることになるんじゃないかな。

安心・安全なものを経済的に手に入れる

現在はスーパー・道の駅・ネットなどでオーガニック商品や無農薬栽培品などを購入することが容易になり、近年ではトレーサビリティ(いつどこでだれがどのように製造したかがわかる生産工程)を消費者へ明示する取り組みも進んでいます。

それでも自分で作ることが一番の安心・安全につながります。

また無農薬栽培品は手間がかかるためお店では市場価格の1.5倍~2倍ほどの価格で販売されています。自分で作ることで安心・安全な食べ物を経済的に手に入れることができます。

タネヨメ

うちは家で出た生ごみを、家の畑のコンポストに入れて作った「生ごみたい肥」を利用して、無農薬野菜を作っているよ。ゴミも減ったし、肥料も買わなくて済むし、安心安全で経済的に美味しい野菜が手に入るのがうれしいわ!

デメリット

手間がかかる

当たり前の話ですが、米や野菜を栽培するのに手間がかかります。

メリットに「経済的」と書きましたが、それは栽培にかかった労働日当分を見ていないからです。

よって最初は「労働」として行わないと成り立たない規模ではなく、まずは「自給率を高めていく」という目的で、「健康づくり」「趣味・楽しんでできる」範囲で行うことがおススメです。

タネ

都会では健康づくりのためにジョギングしたりお金を払ってジムに通う人がいるけど、米や野菜を作れば、運動にもなるし、作物もできるし、健康づくりにもつながって一石二鳥だと思うな!

田舎のお年寄りは田畑を耕しているから、みんな健康で長生きだよ!

自然相手のリスク

2つ目のデメリットも当たり前ですが、自然が相手のため思い通りにならないこともしばしばあります。

雨が続いて腐ってしまったとか、虫が大発生して食べられてしまったとか、台風で全部折れてしまった…など

どうしても自然相手のリスクは避けられません。

だからこそ、作物ができたときの収穫の喜びや美味しさを人一倍感じることができる側面もあります。

必要最低限の農機具や資材が必要

不耕起栽培などの自然栽培でない限り、必要最低限の農機具や資材が必要になります。

鍬(くわ)のほか、草刈機や耕運機・規模によってはトラクターなどが必要となります。

家庭菜園程度であれば鍬(くわ)一本あれば十分です。

米をするなら草刈機・耕運機またはトラクターが必須です。

また草取りの手間を減らしたい方にはマルチ(黒いビニール)や防草シートなどの資材の費用がかかります。

肥料はホームセンターで買うと高いですが、田舎の畜産農家に行けば無料で分けてくれることもあります

また、田舎にはたい肥センターのようなところが点在していますが、軽トラいっぱいたい肥をもらっても1,500円~3,000円程度とたいした金額はかかりません

(家庭菜園程度ならば数年間分の肥料)

自給自足に必要な田畑の面積

田んぼの場合

田んぼの場合、日本の平均的な収穫量と消費量から算出すると、おおよそ1a(1畝)の田んぼがあれば1人分の平均消費量を賄うことができる計算になります。

農林水産省による「令和4年度水稲の10a当たり平年収量」によると、10a当たり536kgとなっています。

1a=100㎡なので、10a=1000㎡(例えば10m×100mの田んぼの面積)。

田舎だと1畝(せ)とか1反(たん)とか1町(ちょう)という単位が使われますが、1反=991.736㎡であることから、1反≒10a(1畝≒1a)と考えておきましょう。

10aあたり536kgということは、田んぼによって収穫量は違いますが、1aあたり53.6kgの収量が見込まれるということです。

令和4年発表の令和3年度食料需給表(概算)によると、1人あたりの米消費量は56.8kg/年となっていますので、おおよそ1a(1畝)の田んぼがあれば1人分の平均消費量を賄うことができるという計算になります。

タネヨメ

うちは一家8人暮らし(夫婦2人、子供3人、両親3人)で1日3食米を食べるよ。

1か月で約40kg、年間で約480kgの米を消費(1人当たり60kg/年)してるわ。

子供はまだ小学生と子供園だから、これから大きくなったらもっともっと食べるようになるわね。

タネ

僕の地域は中山間地で大規模農業ができない小規模な田んぼが多く、また畔(あぜ)が多いから、10a(1反)あたり玄米で8俵位(約240kg)とれればよいといわれているよ。

収量については地域差が大きくて、特に田舎の中山間地にいくほど収量は減る傾向にあるから注意してね!

田んぼ1枚あたりの平均面積が10aに満たない中山間地の田舎暮らしの場合(1日3食米)

10aあたりの収量を240kgとして計算すると、1人あたり約2.5a以上の田んぼが必要という計算になります。

畑の場合

何を作るかにもよりますが、自家用でよく食べる野菜だけならば2~3a/人もあれば様々な種類の野菜を作ることが可能です。

その他大豆を作って自家製味噌を作りたいとか、玉ねぎを1年分作っておきたいとか、果樹をいろいろ作りたいなど、やりたいことに応じて面積は増えていきます。

タネ

うちの地域は中山間地の寒冷地だけど、だいたい家族4人暮らしでも10aも畑があれば十分自給自足できる印象があるよ。

まとめ

自給自足のメリットはデメリットを補えるくらい、たくさんあります。

特に経済的に安全で美味しい作物を食べることができることは、何事にも代えがたいものがあります。

100%自給を目指すととても大変ですが、「自分ができる無理のない範囲で自給率を高めていく」という考え方で、楽しみながらできる範囲で始めてみましょう。

タネヨメ

一度自分でやってみていろいろと作れることがわかれば、これを手放してお店で全部買おうなんて考えにはならないわ。何よりも楽しいし、子供に安心安全なものを食べさせられるのがうれしいわ。

タネ

皆さんもできる範囲での自給自足を楽しんでください!

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