以前近所の消防団に入っている人が来て、旦那が消防団に入らないかと誘われたことがあったわね。
消防団へ入るかどうかは強制力は全くないので、個人の自由だよ。でも実際には目に見えない圧力があったりして断りにくい場合もあるよね。今回は消防団の実態について*僕の体験から解説するので、これを読んでから入るか入らないかじっくり考えてみてね。(*大分県玖珠郡九重町編)
1.消防団の実態(活動スケジュール)
2.消防団に入ることのメリット・デメリット
3.入団するかどうか考えるときに考慮するべきポイント
田舎における消防団とは?
消防団とは?
消防団とは常勤の消防職員が勤務する消防署とは異なり、火災や大規模災害発生時に自宅や職場から現場へ駆けつけ、その地域での経験を活かした消火活動・救助活動を行う、非常勤特別職の地方公務員です。(総務省消防庁HP)
いつ出動するの?
火事や災害時に出動するほか、行方不明者の捜索などもあります。
誰が団員として活動しているの?
消防団の入団資格は、市区町村ごとに条例で定められていますが、一般的に18歳以上で、その市区町村に居住(または勤務・通学)している人なら男性でも女性でも入団できます。
普段は別の仕事(本業)を持っている人がほとんどです。
田舎では特にどんな役割?
山間部や海辺などの田舎では消防署からの距離が遠く、消防署から消防車の到着を待っていたのでは消火活動や災害時避難誘導・災害復旧が間に合わないことがあります。
そんな時初動的に活躍するのが消防団です。
消防団には地区ごとに消防車が配備されており、消火活動や災害時避難誘導、災害復旧活動にあたります。
このため田舎へ行けば行くほど、消防団の存在意義が大きく、団員にならないかと勧誘されることが多いでしょう。
うちの地区は消防署から車で30分以上かかるよ(本当に遠いでしょ)。基本的には集落ごとに消防団が組織されているよ。最近は高齢化による人口減少などで消防団が合併して広域消防団になっているところが出てきているよ。
消防団は完全にボランティアで活動するの?
消防団は出動時は非常勤特別職の地方公務員となり、報酬が出ます。
よって完全なボランティアではありません。
ただし報酬金額はボランティアベースです(各市町村の条例による)。
報酬金額は各市町村の条例によって定められています。
検索サイトで「例規 ●●市(町村) 消防団」で検索すると各市町村の消防団条例を見ることができます。
消防団員への報酬は、地区の消防団へ一括で振り込まれる場合と、個人に振り込まれる場合とさまざまなようです。
地区の消防団へ一括で振り込まれる場合は、個人分配されないところもあります。
僕の町では令和4年現在、団員への年間報酬額は27,000円、火事への出動だと1回あたり2000円と定められているよ。決して多いとは言えない金額だね。今年から報酬は個人口座に振り込まれることになったよ。
田舎の消防団の実際の出動例
消防団に入ると下記のような行事があります。
1月 出初式
全地区の団員が出席して行進やポンプ操法、河川放水などを実施。1月正月明けの日曜日に開催されることが多いです。
3月〜4月 原野の野焼き・圃場の畔焼き・河川のヨシ焼き等
地域によっては記載のような地域活動への出動要請があります。
7月 各市町村での消防操法大会
消防操法大会は、ポンプ操法の操作の基本について技術を競う大会です。
市町村大会で優勝すると都道府県大会、都道府県大会に優勝すると全国大会出場となります。
この消防操法大会に向けた練習は大会の1〜2ヶ月前から行われることが多く、夜に練習が行われます。
11月 秋季全国火災予防運動の実施
防火パレードと題して消防車で巡回をおこなったり、集落の各戸を回って消火器点検(期限内か、設置がされているかなどをチェックする)を行います。
12月25日〜12月30日 年末夜警
年末年始を安心して迎えられるように、夜消防車で巡回パトロールを行います。
7月の消防操法大会には実際に僕も選手で数回出たことがあるけど、練習では延長したホースの横をダッシュで行ったり来たりするので、正直ヘトヘト。。操法大会そのものについては意味がないという反対意見も多いようだけど、現状はまだ何も変わってないね。
また地区によって練習頻度が異なり、優勝や上位入賞を目指す地区は毎晩のように練習が行われているみたいだね。
消防団の負荷については全体に共通する部分と、地区の雰囲気による部分の2つがあるのね。
12月の年末夜警もちょっと前まで20:00〜24:00までできつかったけど、昨年から20:00〜22:00に変わり少しは楽になったよ。
それ以外にも各地域の行事で出動要請があれば出動することになります(例:どんど焼き)。
また出動ではありませんが、飲みごとが多いのは事実です(さすがにコロナで機会は減りました)。
消防団へ入るメリット・デメリット
メリット
- 同年代の知り合いが増えます
- 地域に貢献する仕事なので、地域住民の方からも地域社会の一員として認識されます。
メリット①は実体験からの事実だよ。田舎では特に会社勤めだと車通勤のため、家と会社の往復だけになり、地元の若者と知り合う機会はほとんどないよ。僕も消防団に入ることで同年代の知り合いがたくさんできたよ。
デメリット
- 出ごとの負担が大きい。会社勤めの場合は職場の理解が必要。また夜中でも出動することがある。
- 消防団の中でも部長・分団長・団長などの役員になると会議出席や更なる動員がかかり、特に負担が大きい。
②のデメリットは残念だけど事実。仕事と両立しながら地域へ貢献する志で入ったのに、実際には人数が少ないという理由でやりたくない役員をしなければならないのは、僕たちの問題でなく消防団という組織の構造的な問題のような気がするなあ。
まとめ
消防団は消防署から物理的に遠い田舎では、地域の安全を守るために特に必要な組織です。
ただしそこに入るかどうかは、メリットデメリットを考慮して、慎重に決定しましょう。
特に消防の出ごとの強制力や負担の大きさは地域地域で異なることもある(同じ町の同じ地区の中でも違う)ので、事前に聞き取りをするなどのリサーチを忘れずに!
もし熟考した上で消防団へ入ろうと思った方は、地元の消防団または各市町村役場の窓口へ相談してみてください。
熊本地震や令和2年7月豪雨などの災害時には、やっぱり消防団の力があったからこそ、避難や災害復旧に向けた動きが速かったと感じるよ。
地域に貢献したいと思ったときに貢献する方法は、消防団以外にもたくさんあるよね。周りの人の圧力ではなく、自分にとっての貢献の形や意味をよく考えて決断するのがベストだね!