「田舎に移住するならば、自然豊かなところで自然を相手にする仕事をしたい!」そう考えている方へ向けた第2弾のお仕事紹介です。
国立公園の近いエリアに移住して、ネイチャーガイドという仕事をしている人がたくさんいることに気づいたわ。
ガイドさんたちはみんなどうやって生計を立てているのか、興味があるわ!
自然系の仕事で最初に思いつくのが、自然を案内する「ネイチャーガイド」だけど、その実態についてはあまり知られていないね。
ガイド業は実は専業ではなく兼業で行っている人のほうが多くて、みんな別の仕事を持ちながら実践していることが多いよ。
今回は「ネイチャーガイド」を紹介するね。
1.ネイチャーガイドさんの仕事の内容
2.向いている人はこんな人!3選
3.ネイチャーガイドの収入
4.ネイチャーガイドの注意点3選
1.ネイチャーガイドとは
明確な定義はありません。
海・山・川・湖など様々な自然のフィールドにおいて、お客さんが自然とふれあい、自然の成り立ちや生き物のつながりなどについてより深く知ることができるよう、手助けをするガイドのことです。
ネイチャーガイドといってもその形態は千差万別ですが、多くは「海」「山」「川」「里」のように、自身が専門とするフィールドや分野を持ちながら、他のフィールドや分野の案内もしています。
私のエリアでは阿蘇くじゅう国立公園に指定されているくじゅう連山があるから、身近なガイドは山のガイドさんね。
山のガイドと一口で言っても、得意とするエリアも分野もみんなそれぞれ違うね。
インタープリターという専門用語を聞いたことがあるかな?
インタープリターとは自然と人の仲介者ということで、ただ見たままの自然を解説するのではなくて、自然の背後にある相互の関係性や歴史について解説し、お客さん自身による「気づき」を促す自然解説者のことをいうよ。
優秀なネイチャーガイドは同時に優秀なインタープリターでもあるということだね。
山のガイドであれば、山の道案内だけではなく、そこで見ることができる動植物の解説や、地域の文化や歴史の解説なども総合的に行うことになります。
後ほど説明しますが、案内だけではなくお客さんの安全管理も同時に行うことが必須です。
安全管理と一口にいってもいろいろあります。
お客さんが疲れていないか、ペース配分をどうするか、どこでどんなことに気を付けるべきか、もし捻挫などのけがをした場合はどうするか……etc
時間内に安全にツアーを催行するために考えるべきことはたくさんあります。
2.向いているのはこんな人
自然が好きで体力がある人
自然についての深い知識を求められることから、当然自然が好きなことが第一条件となります。
同時に体を使う仕事であることから、体力があることが必要です。
一度ガイドになったら勉強は終わりではなく、絶えず図鑑を読んだり、自然の成り立ちについて勉強したりと、スキルアップのための努力を続ける必要があります。
体力の維持のためにはコツコツと筋肉トレーニングに励んだり、毎日ランニングを行ったりと体力づくりに励む必要があります。
華々しい世界の裏には日々の地道な努力が欠かせません。
人とコミュニケーションをとることが好きな人
自然が好きなだけではなく、お客さん相手であることから人とコミュニケーションをとることが好きな人が向いています。
また一方的に自分の覚えた知識を話すだけではなく、お客さんがどんな情報を望んでいるか、お客さんの立場でものを考えてコミュニケーションができる人が求められています。
人を楽しませたり、喜ばせたりすることが好きな人もガイドに向いているといえます。
企画力のある人
ガイドは旅行会社や依頼者から頼まれるのを待っているだけでは仕事が来ません。
売れるガイドになるためには、ターゲット層を選定し、そのターゲット層の興味関心に基づきテーマ設定・コース設定をし企画する能力が必要です。
フリーのガイドではなく、もし仮にガイド団体に所属するとしても、売れるガイドは売れる企画を作れる人になります。
物事を観察して、創意工夫することが好きな人はガイドに向いているといえるでしょう。
3.ネイチャーガイドの収入
ガイド会社・団体に所属するか、フリーで行うかで大きな違いがあります。
ガイド会社に所属するガイドの場合
ガイド会社や団体に所属する場合は、会社や団体がすでにガイド手配会社(JTBなどエージェントと呼ばれる旅行会社)と提携ガイド契約をしていたり、多くの顧客を抱えていることが多いです。
会社や団体の規模にもよりますが、求人が出ているような大きなガイド会社の場合は、月給18万円~20万円程度がボリュームゾーンになります。
ガイド団体に所属しても、基本的な仕事はフリーガイドとしての仕事が主で、エージェントからガイド団体に依頼があった場合に、その団体の仕事としてガイドを行う形態をとっているところもあります。
但し、ある一定のガイド資質を求めるため認定機関(例:(公社)日本山岳ガイド協会)のガイド資格を有することなどが求められる場合があります。
フリーランスのガイドの場合
フリーランスのガイド収入はピンからキリまであります。
まるっと1日山のガイドなどであれば、1本のガイドあたり20,000円あたりがボリュームゾーンといえます。
ただし自身で企画する募集催行型のガイドの場合は、参加者の人数が増えるほど収入が上がるので、企画力をつけてリピーターをいかに獲得するかが勝負の分かれ目といえます。
自然系の仕事をしている僕の印象では、フリーランスのガイド業だけで生活している人は、ガイド専門会社に就職している人以外では、あまりいないよ。
フリーランスのガイドが生業を成り立たせるポイント
「フリーランスのガイド業だけで生活をしている人はあまりいない」というと一見ネガティブに聞こえますが、実態としては自分のやりたい別の仕事とうまく組み合わせてガイドを行なっている人が多いという印象です。
ガイドの需要が多いのは土日祝日なので、土日祝に関係ない仕事であればガイドと兼業することが可能です。
実際にガイドをしている人たちの別の仕事の例
例:IT系プログラミングの仕事、小中学校のパソコン導入等のICT支援員、登山者向け民宿・ゲストハウス経営、山岳ライター、アウトドアショップ店員、農業、普通の会社員……etc。
中でも山岳ライターや登山者向け民宿・ゲストハウスのように、ガイド業がもう一つの仕事とも深くつながっていると、効率的な仕事が見込め、食っていけるようになります。
ガイドのお客さんがそのまま別の仕事でのお客さんになったり、ガイドで得た情報がそのまま別の仕事にならないかなど、別の仕事とのつながりを考えてみましょう。
そのほかガイド業でだけで仕事を成り立たせるポイントは
あなたのガイドでしか入ることができないフィールドを作ることや、リピーター獲得のためのスキルアップ企画やフィールドを広げていく合宿遠征の開催等にあるようです。
4.ネイチャーガイドの仕事の注意点
天候に左右される&季節労働的
自然が相手なだけに、天候によって催行が左右されます。
悪天候時の催行はお客さんの身に危険が生じることから、キャンセル料をとらずに催行中止するのが一般的です。
またハイシーズンは限定的で、スキーのインストラクターを除けば春~秋までのある一定の期間に集中することが多く、毎月の収入は安定しないことが多いようです。
くじゅう連山のハイシーズンは、5月下旬~6月中旬までのミヤマキリシマの時期と10月中旬~11月初旬頃までの紅葉の時期だよ。
この時期はガイドの依頼がたくさんあっても、一人で受けきるガイドの人数には限りがあるよ。
ハイシーズンは仕事がたくさんあるので、シーズン通してどうガイド業を成り立たせるのかが肝だね。
体力仕事&スキルアップにお金や時間がかかる
どんな仕事でもそうですが、ガイドは特に体を使う仕事です。
ケガをしたり体調が悪いときはツアーを催行できません。体調管理に気を付けて、いつも体力維持に努める必要があります。
またいいガイドになりお客さんにリピーターになってもらうためには、自身のスキルアップをはかる必要があります。
そのためのお金も時間も自己負担です。
エージェントなどを相手にするときは、ガイド資格の有無なども仕事の依頼に影響することがあります。
(公社)日本山岳ガイド協会などでは、講習会30,000円~、検定試験料に40,000円程度~すべて自己負担となります。
参加者への安全配慮義務が生じる
ツアーとして催行する場合、旅行契約に基づいて参加者への「安全配慮義務」が生じます。
山岳ガイドはツアー中に事故やケガが発生しないように気を配るだけでなく、実際に事故やケガが発生した場合に、しかるべき適切な処置をすることが求められます。
実際に事故やケガが発生した場合に、安全配慮義務違反という債務不履行に基づく民事裁判を起こされるケースがあります。
自然は魅力あふれるフィールドである反面、急な天候不順やアクシデントが発生することもあり、危険と隣り合わせであることは肝に銘じておく必要があります。
フリーで活動するガイドは、特に賠償責任保険などの加入を検討しておいたほうがよいでしょう。
まとめ
ネイチャーガイドの魅力はなんといっても自然の中で思いっきり働くことができることです。
危険と隣り合わせでもありますが、フリーのガイドであれば自身の仕事との組み合わせで兼業でも始めやすいメリットがあります。
シーズンに波はありますが、田舎の仕事の中では1回あたりの単価が高い仕事なので、田舎暮らしを始めようと考えている人にはおススメの仕事の一つです。
どんな仕事でも大変だけど、田舎で自然の中で働きたいと思っている人にはおススメできる仕事の一つだね!
もしネイチャーガイドの仕事に興味を持った人がいたら、まずは実際にガイドとして活躍している人に話を聞いてみるのがおススメだよ。
自分がやってみたい分野のガイドツアーに参加してみて、ガイドの人にいろいろ話を聞いてみましょう。
田舎暮らしの一歩に向けて、できることから始めよう!