住のタネ

空き家バンクの水道には注意!

空き家バンクの水道には注意!

不動産サイトや空き家バンクを見ていると、「水道」の欄に「上水道」のほか「簡易水道」とか「集落水道」などあまり見慣れない水道事業名が書いてあることがあります。厚生労働省によると、2020年の全国の水道普及率は98.1%となっていますが、その内容は地域ごとに異なるようです。

タネヨメ

いったい何が違うのかわからないし、とにかく「水道」がきてれば問題ないんじゃないの?

タネ

住む場所によっても違うけど、中山間地では公営の水道事業がない地域もたくさんあるよ。「家は買ったけど水道がない」「こんなに水の確保が大変だと思わなかった」という事態にならないように、しっかり学んでいこうね。

今回は田舎の空き家の水事情について解説します。

この記事でわかること

1.田舎の家の水事情ー分類4選

2.田舎の家の水事情メリット・デメリット

3.田舎の水事情の比較

参考:水道事業の種類6選

田舎の空き家の水事情とメリット・デメリット

私たちが実際に田舎の空き家を探すときのチェックポイントは、「水道の事業主体がだれか」です。事業主体がだれかで、日常の水の管理方法のほか、発生する義務や料金が大きく異なります。

事業主体での水道の分類

①市町村による水道

②私営企業による水道

③集落水道(水道組合等)

④自分(井戸等)

それぞれのメリット・デメリットを解説していきましょう。

①市町村水道

市町村が運営している水道です。但し田舎の地域だと水道がきていない地域があります。特に水が豊富な地域(地下水がすぐ出る)や中山間地では、市町村運営の水道がないところがよくあります。市町村が運営する水道は、空き家バンク等での名称は「上水道」「簡易水道」と記載されていることが多いです。

メリット

水の供給が安定的に行われます。市町村の窓口で水道の契約手続きができるので、手続きも簡単です。日常の管理義務はありません。万が一断水した場合でも、市町村によって給水所が設けられることが多いです。

デメリット

月々の使用料金を支払う必要があります。使用料金は各市町村によって大きく異なります。これは水源の確保や配送距離、メンテナンスの困難さなどによるものです。基本的に人口の少ない市町村や水源の確保及び配送が困難な地域(特に中山間地や離島)は月々の基本料金が高い傾向にあります。

②私営企業による水道

市町村の第3セクターなどが運営する水道や、別荘地の管理会社が運営する水道がこれにあたります。ここでは田舎暮らしを前提として、別荘地の水道について解説します。

別荘地の水道の種類は、管理会社が自前で井戸を掘って給水する専用水道が多くみられます。空き家バンクでは、「私営水道」「別荘地水道」「管理費 月●●円」などと記載されていることがあります。

メリット

水の供給は管理会社によって行われます。水道を引く手続きも、別荘の管理組合加入時に一括して行うことが多いです。

デメリット

別荘地などでは月々の管理費以外に別途水道料金を支払う必要があるところが多いようです。水道料金も市町村水道に比べて、私設であることから基本料金及び使用料金は高い傾向にあります。また維持管理修繕のための積立金なども別途納める必要があるところもあります。

近年ではリゾートブームに乗って開発された別荘地の老朽化や管理会社の資金不足などにより、水道事業の維持管理が困難になっているところがあります。すべて管理会社次第というリスクがあるのがデメリットです。

③集落水道(水道組合等)

文字通り集落(数戸~数十戸が多い)が運営している水道です。市町村水道がない地域では、集落運営の水道が多くみられます。集落で水源(湧水が多い)をもっており、水源から各戸までの給水・配水を集落で協力して行っているものです。

メリット

山間部ではミネラルウォーターのような水質の水を日常生活に利用できます。また集落で水源をもっていることから、月々の水道料金は抑えられる傾向にあります。

水道はライフラインですが、一度トラブルが発生するとその復旧には多くの労力・時間・資金がかかります。集落水道はこれらのトラブルに集落の構成員で協力して対応にあたることができます。また②の私営企業による水道と異なり、集落での水道施設整備に市町村の補助金がでる場合があります。

デメリット

水道組合の役員が順番で回ってきます。役員になれば料金の徴収からメーターの検針、カルキの充填、水道の維持管理業務を担わなければならず、これらの出ごとの負担は大きいです。水源や給水施設周りの草刈りや集落の水道タンクの清掃、不具合が発生した時の工事などは、構成員全員が出る必要があり、出れない場合は科料(半日4,000円程度のところが多い)を支払う必要があります。

水道組合の加入手続きも集落や水道組合の代表者と話し合って自分で行う必要があります。

タネ

うちは集落水道だけど、水源から集落の水道タンクまでの距離が3㎞以上あって、維持管理がとても大変だよ。ただし月々の水道料金は、家族7人暮らしで月400~500円程度かな。2人暮らしだと基本料金のみの年間2,000円だよ。出ごとは多いけど、このライフラインに替えられるものはないなぁ。

④自分(井戸等)

上記①~③の水道がない場合は、自分で水を引く必要があります。自分で水を引く場合には、❶井戸を掘るか、❷水源の利用権と家まで引ける距離にあることが必要になります。

❷の場合は、水源の利用権がないと家まで勝手にひくことができません。水源の利用権は、土地の所有権(個人、共有)であることが多いほか、地域の慣習によって水利権として権利を分配していることがあります。水源の利用権を確認しないと、トラブルのもとになります。

ここでは一般的な❶の井戸を掘る場合について、解説していきます。

メリット

自分の家の敷地さえあれば、井戸を掘って水を確保することができます。古民家などでは既に敷地内に井戸があることがあります。水そのものの利用料は発生しません(井戸を電気で汲み上げる場合は月々の電気代等はかかります)。水の管理において集落水道のような人間関係は発生しないので、精神的な負担も少ないです。

デメリット

新規に井戸を掘る場合は、業者に依頼する必要があります。現地調査のあと見積書をもらってボーリングする手順が一般的です。場所によっては深く掘らないと水脈にあたらないことがあります。掘削単価は業者のホームページで公表されているものを見ると、概ね15,000~30,000円/m前後のようです。ただし場所や施工方法によって異なるので、きちんと見積書をとりましょう。また必ずしも良い水が出るとも限りませんし、水を実際に汲み上げるのに電動ポンプ設置代なども別途かかります。電動ポンプの寿命はおよそ10年程度ともいわれており、月々の電気代と合わせて、まったくランニングコストがかからないわけではありません。そして停電時やポンプ故障時などは水の供給が止まってしまいます。ゲストハウスや農家民宿・レストランなどの営業を考えている場合は、水質検査が必要となります。

田舎の家の水事情まとめ

①市町村水道②私営水道③集落水道④自分(井戸)
給水安定度★★★★★★★★★
自己メンテナンスの少なさ★★★★★
使用手続き(開始まで)
の簡易度
★★★★★★★★
使用料金の安さ★★★★★★★★
タネヨメ

これはあくまでも私たちの主観に基づくものよ。市町村水道が一番トラブルが少なくておススメだけど、安定と引き換えに使用料金がそれなりにかかるわね。全部に一長一短あるし、水の便の良しあしで地域差がかなりあるから、一概には言えないところがあるね。

タネ

田舎の水事情がわかっておけば、トラブルにならないよう自分で考えて行動できるよ。どんな水をひいても田舎で美しい水が毎日飲めるのがうれしいよね。田舎暮らしを恐れずに一歩前へ!最後に水道事業者の種類を知りたい人は参考までに下の記事を読んでね。

参考:水道事業の種類

最後に空き家バンク等を見たときに水道事業名を理解することが必要であることから、国の法律や地方公共団体の条例で定められている水道の種類について解説します。

タネ

以下は参考までに見てね。

①水道事業

水道事業とは、「一般の需要」に応じて水道により水を供給する事業(給水人口101人以上)のことをいいます。給水人口5,000人超の水道事業を「上水道事業」、給水人口5,000人以下の水道事業を「簡易水道事業」といいます。

法律上の「水道事業」は原則として市町村が運営しており、私たちの家に直接水を届けてくれる事業と理解しておきましょう。

タネヨメ

あっ、「簡易水道」って空き家バンクでよく見るけど、市町村が運営する水道事業のことなんだね。

②水道用水供給事業

水道事業者に対し水道用水を供給する事業のことです。例えば都道府県がダムなどを作り、用水の供給を水道事業主体の各市町村に対して行う事業がこれにあたります。

私たちの家と直接的に関係することはまずありません。

③専用水道

「専用水道」とは、寄宿舎、社宅、療養所等における自家用の水道その他水道事業の用に供する水道以外の水道であって、100人を超える居住者に給水するもの又は1日最大給水量が20㎥を超えるもをいいます。

①の水道事業との大きな違いは、専用水道は設置主体が市町村ではないこと、水道事業が「一般の需要」に応じるのに対して、専用水道は「特定の需要」に応じているところにあります。

空き家バンクで見る物件では、民間の別荘地や100人以上の大きな集落へ給水する企業(市町村の第3セクターなど)や集落で運営している水道組合などがこれにあたります。

タネ

上記①~③は国の法律に基づいて運営されている水道だよ。以下④~⑥の水道事業は、都道府県や市町村によって名称が異なるので、一般的な名称で紹介するよ。

④簡易専用水道

簡易専用水道とは、市町村等の水道事業者から供給される水のみを水源とし、受水槽の有効容量が10立方メートルを超えるものをいいます(都道府県によって容量の上限があるところもあります)。

市町村から供給される水をいったんタンクにためて、各戸へ分配を行っている場合がこれにあたります。都会の集合住宅(マンション・アパート)や共同住宅などでよくみられる水道事業で、田舎の空き家バンクで見ることはあまりありません。

⑤小規模専用水道

各都道府県や市町村条例で名称や給水人口の定義が異なることがありますが、共通するのは給水人口が100人以下であって、地下水又は表流水を水源とし、居住に必要な水を供給するものをいいます。水道法の適用は受けず、規模によっては都道府県条例または市町村条例の適用を受けます。

空き家バンクなどで、よく「集落水道」とか「水道組合」と記載されているものがこれにあたります。

⑥小規模簡易専用水道

各都道府県や市町村条例で名称や給水人口の定義が異なることがありますが、共通するのは市町村等の水道事業者から供給される水のみを水源とし、受水槽の有効容量が10立方メートル未満のものをいいます。地域によっては「小規模貯水槽水道」などというところもあります。

空き家バンクでこの名称を記載しているものは見たことはありませんが、確認は必要です。

タネ

⑤⑥をまとめて「小規模水道」と言ったりするよ。