田舎に移住するなら古民家で、自分たちでリフォームしながら生活したい!と考えている人たちがたくさんいると思います。
家は100年以上前の古民家で、畑がついているところがいいわ!庭で野菜を洗って、天然素材でリフォームした台所で料理したいわ…
あ、空き家バンクにいい古民家があった!
ちょっと待って。
本当にその家、大丈夫ですか?
リフォームうんぬん以前に
水道、本当に来てますか?
登記できる物件ですか?
私は田舎に移住して16年経ちます。
その中で古民家を購入した人たちがぶち当たる、共通のトラブルがあることに気がつきました。
それは……
①水の権利がない、または自分たちで維持管理しなければならない水道だなんて思わなかった
②水道管が壊れたが家のどこを通っているかわからない
③家と土地の両方に登記がない、または登記の名義人が違う
です!
この記事では、田舎で古民家などの空き家探しをしている人たちに気をつけてほしいトラブル3選とその対処法を解説します!
①水のトラブルを防ぐために空き家サイトで水道事業を見分ける方法
②敷地内で点検すべき3つの水道設備と水のトラブル事前対処法
③不動産登記にまつわるトラブルと登記の調べ方
空き家となっている古民家の水道事業を調べる方法
不動産サイトや空き家バンクの運営者でも、水道の権利がどうなっているのかきちんと確認していない場合があります。
特に都市部の大手不動産サイトほど、現地の詳細な状況をきちんと確かめていないケースが見られます。
そのため、下記のようなトラブルが発生することがあります。
「水道の権利が付いていると思って家を買ったのに、実は水の権利が付いていない。自分で井戸を掘らないといけない事態になった…」
「水道って、お金払えば蛇口から出てくるものじゃないの?なんでお金も払っているのに、水道の維持管理作業に出ないといけないの?」
こんなことにならないように、情報収集をしっかりしましょう。
田舎の水道事業には大きく分けて5種類あります。
それぞれの物件サイトでの水道事業の見分け方について説明します。
①市町村水道
市町村などの行政が主体となって運営している水道事業で、一般的にトラブルが少なくオススメできる水道事業です。
不動産サイトや空き家バンクでは、水道の項目に「●●市町村名」「上水道」、「公営」 などと表示されています。
都市部に住んでいる方と同じように基本的には料金を支払うだけのお手軽水道です。
家を賃貸・または売買したら運営元の市町村窓口で手続きをして、すぐに水を利用することができます。
給水の安定度はこれから紹介する①〜⑤の中で一番高いといえます。
②私営水道
別荘地を運営する管理会社や組合などが管理している水道事業を私営水道といいます。
管理会社の経営そのものが給水の安定度に直結しており、人気のない別荘地の私営水道は継続が怪しいところもあります。
大手不動産サイトなどでは、水道の項目に私営水道という表示は見られず、
「諸費用」や「維持管理費」の項目に水道の管理費用が掲載されていれば、私営水道である可能性が高いです。
管理組合への加入手続きと共に、水を利用することができます。
費用は一般的に市町村水道や集落水道よりも高いです。
別荘地内で気になる物件があったら、管理会社をネットでリサーチするだけでなく、実際に現地に行って、廃墟が多くないかなども確認するといいいでしょう。
③集落水道
文字通り、集落(数軒〜数十軒で管理しているところが多い)で管理している集落水道です。
集落水道は水道事業の中では一番注意が必要な水道事業です。
なぜならば、月々の使用料金だけでなく集落水道の維持管理の負担(出ごと)もあるからです。
不動産サイトでは「集落水道」「地区水道」「簡易水道」などと表示されています。
維持管理の負担があることから、どんな集落かどうかを調べることが大切です。
一番簡単なリサーチ方法は、「その集落に移住者が多いかどうか」を市町村担当者に聞くことです。
移住者が全くいない地域では、受け入れる側もしっかり準備ができているとは言えません。
その場合はお互いの相性次第でリスクが高くなります。
移住者の多い地域では、コミュニティが緩やかで、維持管理などの出ごとも務めやすい雰囲気であることが多いです。
給水の安定度は集落水道の水源次第です。
冬場などは水不足で断水する地域もあるので、過去の断水事例も合わせて事前に聞いておくと良いでしょう。
なお集落水道では、持ち主が家が売れないから水道の権利だけ違う人へ売買してしまった、なんてこともありうるので気をつけてください。
いずれにしても後々トラブルにならないように、市町村の担当者を通して集落水道の組合長などへ聞き取りを行って、水道の権利や義務についても調べた方が良いでしょう。
デメリットばかりが目立つ書き方をしてしまったけど、実は山間部で一般的に水道料金が一番安いのは集落水道だよ!うちは7人家族で月1,000円かからないくらい。水が豊富な集落水道では、年間使用料は無料(会費数千円のみ)なんてところもザラにあるよ!
④井戸
誰かが引いてくれた水道施設はなく、自分の家の敷地内に井戸をほり、水道として利用している場合です。
不動産サイトでは文字通り「井戸」と表示されています。
井戸は基本的に電動ポンプで水を汲み上げて利用することができます。
空き家の期間が長ければ井戸のポンプも止まったままでしょうから、基本的にはポンプの交換が必要と考えておきましょう。
またいい水を給水するために、定期的にボーリング屋さんを雇って井戸を掘る必要があります。
井戸は一見費用が安くすみそうに思えますが、井戸の水を汲み上げる電気代やポンプ代・ボーリング代などがかさみ、よっぽどの湧水地でない限りはコストパフォーマンスは高いとは言えません。
現状の井戸の状況がどうなっているのかを、実際に現地に行って確認した方がよいでしょう。
「古民家」×「井戸」って聞くとすごく聞こえはいいわね!でも農泊などの商売を始めようと思ったらカルキ充填や定期検査の手間が大変よ。
また農薬等による周辺の環境汚染によって、水質汚染が起こる恐れも。
日常生活に利用する水だから、安心・安全な水を使いたいよね!
⑤その他
個人で山水を引いている場合などがこれに当たり、かなりのレアケースです。
水の使用料は無料ですが、維持管理の手間を全て負う事になります。
ただし水源の土地所有者が家の所有者と異なる場合、「水利権がない」と言って、水を利用させてもらえない、なんてトラブルもあるので十分気をつけましょう。
空き家の水道事情についてもっと詳しく知りたい人は過去記事をどうぞ↓↓
敷地内の水道ラインの確認方法
①水道ラインを確認しよう!
水道管が破裂したが、水道ラインが埋設されていてどこから漏れ出ているかがわからない。
これは移住後あるあるです。
実は不動産屋さんも空き家バンクを運営する市町村も、空き家の水道管が敷地内のどこを通っているのかは知りません。
近所の人でさえも、他人の家のことなので知らないことの方が多いです。
つまり大家さんしか知らないということです。
しかし田舎で空き家を処分するのは、大家さんが亡くなったorまたはなんらかの事情で生活ができなくなったため、賃貸・売買に出すケースが大半です。
そのため大家さんを引き継いだ子供や親族は家の詳細を全く知らない、という事態がよく起きています。
うちも古民家を購入した時、水道管が敷地のどこを通っているかまったくわからなかったんだ。
大家さんはだいぶ前に亡くなっていて、相続した親族が持ち主だったけど、当然その人はさっぱりわからない…
結局水道の入り口からたどって自分で水道管を掘り出してラインを確認した覚えがあるよ。
僕の周りで古民家買った人はみんなこの問題に直面している…
特に田舎の古民家では昭和30年代以降に増改築された家が多いです。
そして増改築時に元の水道管を利用しており、ラインがめちゃくちゃになっていることがよくあります。
大家さんが水道ラインについてわかるのであれば、必ず確認しておきましょう。
うちは水道管そのものも60年以上経っていて老朽化していたんだ。
だから結局ホームセンターで水道管を買ってきて、水道の入り口から自分で水道ラインを全て引き直したよ!
購入した物件なら、水道管のやり直しは水道ラインを明確にするためにもオススメだよ。
水道屋さんに頼んだら高いけど、自分でやれば材料代だけ。
辛抱辛抱。
②止水栓を確認しよう!
水漏れしていて水道メーターが回っているけど、どこが漏れているかわからない。
そのままにしておけば水道代が加算されるし、家の敷地も水浸し……
こうならないように、必ず事前に止水栓の位置を確認しましょう。
止水栓とは水道管に設置されている栓のことで、水漏れや水道管の故障時に敷地内への水の流れを止めるものです。
水道の元ラインをたどって、空き家の入り口付近を探してみましょう。
だいたい、家の敷地の入り口に止水栓が付いていることが多いです。
(古い家だと止水栓のない家もあるので注意!)
止水栓があっても老朽化で壊れていることもあるので、壊れていないかのチェックも必要です。
止水栓がないまたは壊れていると、敷地内の水道トラブルに対応できなくなってしまいます。
私たちが前借りていた、古民家ではなんと止水栓が付いていなかったの!
真っ昼間によくわからないところで水道管が破裂して、水があふれ続けたことがあったわ…
その時は近所の方が助けに来てくれてなんとかなったけど。
だから面倒でもこのステップ、本当に大事だよ!
③水抜き栓を確認しよう!
特に寒冷地では水抜きがついているかを確認しましょう。
水抜き栓は、水道管や配管などにたまった水を排水するための栓です。
寒冷地では、水道管の中にたまった水が凍って水道管を破裂させることがあるので、止水栓と共に水抜き栓が付いていることが多いです。
きちんとした家だと、止水栓・水抜き栓が付いているところに蓋が設置されています。
水道トラブルが発生したら、誰が責任をとるのか
一般的に市町村水道も集落水道も、自分の家の敷地内の水道トラブルは、その家の持ち主が直すものです。
上記のように空き家バンクに出ている空き家では、賃貸でも売買でも「現状引き渡し」という条件が付いていることが多いです。
その場合は借りた(買った)本人が水道管を直すことになります。
空き家になってから長い期間放置されている家は、確実に水道管の修理が必要だと認識してください。
寒冷地だと水抜きをせずに3年程度放置されている家は、だいたい冬期に水道管が破裂しています。
登記トラブルに巻き込まれないために
土地と家の登記の確認を確認しよう!
田舎の空き家物件では、親などが亡くなって相続時に登記されずに、亡くなった人の名義のままになっているケースが数多くみられます。
よって土地と建物とそれぞれが賃貸・売買の相手方である、現在の持ち主の登記になっているかどうか確認が必要です。
またそれだけでなく
土地の登記はあるが建物の登記が存在しない
または建物の登記はあるが土地の登記がない というケースがあります。
登記は義務ではないのですが、不動産登記法という法律で不動産は登記をした者に所有権を認めていることから、一般的に土地と建物双方に登記は作られます。
しかし田舎では実質的な土地と建物の所有者が同一人物であった場合、どちらかの登記がされずそのままであることがあります。
実はうちが買った古民家も、売買契約前に法務局で調べたら土地の登記はあったけど家の登記がなかったんだ。だから売主に頼んで登記を作ってもらったんだ。実際登記ができるまでに数ヶ月かかったよ。
後々トラブルにならないように、きちんと登記の有無と名義人の確認をしておきましょう!
登記の確認方法は過去記事をご覧ください↓↓
まとめ
田舎の空き家探し〜リフォームどころではないトラブル3選〜は
①水の権利がない、または自分たちで維持管理しなければならない水道だなんて思わなかった
②水道管が壊れたが家のどこを通っているかわからない
③権利者が不明またはそもそも登記がない
でした!
解決方法は順に
①不動産サイトで確認するだけでなく、現地確認を必ず行うこと。集落水道の場合は、市町村の担当者を通して集落水道の組合長に水道の権利の有無やでごとの負担の大きさについて聞くこと
②古民家の賃貸・売買する前に水道管のライン確認→止水栓確認→水抜きの有無と経年劣化を確認すること
③法務局で土地と建物の登記の有無と名義人を調べておくこと
でした!
これが事前にわかっていたら、私たちも大変な思いをしないで済んだね。
水道事業や登記は調べるのが手間で面倒だけど、実際にトラブルになって胃が痛くなるほど本当に大変だったよ!
後々住む場所だから調査を怠らないようにしよう!
皆さんもいい古民家との出会いがありますように!