田舎に移住したい、と思っても「病院が近くにないと何かあったときに不安…」と感じる方が多いかと面ます。
全国には「無医地区」といって、医療機関のない地域でその地区の中心的な場所を起点として、おおむね4㎞内で容易に医療機関を利用することができない地区、またはそれに準じる地区が601地区あります。
同じく無歯科医地区またはそれに準じる地区も775地区あります。
東京都、千葉県、神奈川県、大阪府を除く都道府県では、無医地区またはそれに準じる地区が存在します。
全国で無医地区およびそれに準じる地区が多い都道府県は、1位北海道、2位広島県、3位大分県、4位高知県、5位島根県、6位が岩手県・鹿児島県となっています。
(厚生労働省ホームページ 令和元年度調査結果より)
病院のない地区に住むのって、子育てをしていくのにとても心配だわ。先日も子供が夜急に熱を出したし…田舎に住んでいる人たちは、病院通いなどはどうしてるのかしら?
特に家族に子供や高齢者がいる家庭にとって、病院がないことは大きな問題だよね。
実際のところどうなのか、無医地区に住んでいる僕たちの実体験もふまえて解説していくよ。
1.田舎の病院問題3選
2.田舎の病院を利用する上で注意しておくこと3選
田舎の病院問題
①大病院がない問題
田舎には大きな総合病院などはありません。
ましてや手術ができるような大病院もありません。
よって大きな病気やケガをしたときには、車で1時間かけて近隣の都市の病院へ行くことが多いです。
但し日常的な病気(風邪・インフルエンザ・一般的な薬の処方)については地域にある小さな病院や診療所でも十分対応してもらえます。
市町村によっては「へき地診療所」が設置されていることがあります。
小さな病院や診療所の先生もそれぞれの専門をお持ちですが、ほかに大きな病院がないので内科・外科問わず総合的に診察してくれるところが多いです。
僕の住んでいる地域は、病院がない代わりに「へき地診療所」があるよ。
へき地診療所では日常的な病気の診察・投薬はもちろん、他の医療機関で処方された一般的な薬なども、診療所の医師の診断の下もらうことができるよ。
調子が悪いときは点滴を受けることもできるし、インフルエンザやコロナウイルスの予防接種も受けることができるので、日常生活では困ることはほとんどないなぁ。
地域の小さな病院・診療所の診断でみることができない大きな病気の疑いがある場合は、医師に紹介状を書いてもらい、近隣の市町村の大きな病院に通うことになります。
②小児科がない問題
田舎では小児科を設けている病院はとても少ないです。
しかし中には子供を診察したときに子供用の処置や薬を処方してくれる小さな病院&薬局があります。
よってそういった病院を見つけられれば、日常的な病気では困ることはありません。
大人も子供も専門医を見つけることも大切ですが、まず具合が悪くなった時に最初に総合的に診てくれる「かかりつけ医」を見つけることの方が大切です。
子供が病気になったときにどこの病院に行ったらよいかは、地元の人に聞いたらすぐわかったわ!
そこは小児科はないけど、大人も子供も親切丁寧に診療してくれるわ。
いきなり大きな病院の小児科に行っても、人が多くて待ち時間も長いし、診療してくれる時間もわずかだから、かかりつけ医の方が断然いいわね!
③救急病院がない問題
田舎には救急病院がないことのほうが多いです。
よって救急車を呼んだ時には広域医療拠点に指定されている近隣の(市町村の)救急病院へ搬送されることになります。
特に昼間ではなく夜間に急に具合が悪くなった時には、搬送先の病院が限られるため診察までに時間がかかることがあります。
また消防署が近くにない場合は、救急車到着までに1時間近くかかることもあります。
ただし救急車が到着するのに困難な場所や症状が重篤な場合で、消防署が必要と判断したときには、ドクターヘリが急行することもあります。
僕の住んでいる地域は消防署が近くにないので、119番すると救急車が来るまでに30分以上かかるよ。
救急病院もないから、1時間以上離れている隣の市まで搬送されることになるよ。
以前子供が急に重篤な症状に陥ったことがあって、119番したことがあるよ。
救急車が到着するのを待ちきれず、自分で車に子供を乗せて途中まで運転していったことがあるなぁ。
救急の時が一番悩ましいね。
夜子供が突然40度近く熱を出してしまって、救急車を呼ぶほどのことではないけど、心配でどうしたらよいかすごく悩んだわ。
結局、大都市の子供救急病院へ連れて行ったわ。
高速道路を使っても片道1時間30分かかるし、夜だし、子供もぐったりしてるし、大変…
でも周りのお母さんもみんな同じ経験をしているみたい。
それ以来子供の体調管理には、すごく気を付けるようになったわ。
2.田舎の病院を利用する上で注意しておくこと3選
①車の運転が必須
何度も前述していますが、病院に行くのには車の運転が必須です。
地域の公共交通機関(バス等)があるところもありますが、本数が少なく不便なことが多いです。
特に夜間の救急時などは、1時間以上運転して近隣の市町村にある大きな救急病院に行くことも覚悟することは必要です。
②日ごろから「予防」に重点を置く
日ごろから定期的に健康診断を受診する・体調管理をきちんとする・食生活を整える・適度な運動をこころがけるなど、病気の予防に重点を置きましょう。
病院に行くのが日常になるのではなく、非日常になることこそが本来の目指すべき姿です。
これは田舎に移住してから、家族みんなでこころがけているわね。
食事は栄養バランスにも気を使って、自分たちで作った美味しくて安全な米や野菜を食べてるわ。
また大人も子供も規則正しい生活を送り、疲れたらとにかく早く寝るようにしてるわね。
おかげで病院に通うことは、都会で暮らしていたときより本当に少なくなったわ!
病気を予防するコストと病院にかかるコストを比較すれば、断然予防するコストの方が少なく済むわよ。
③薬の処方に工夫を
これは医師の診断にもよりますが、田舎では病院に頻繁に通うことが大変なので、医師に相談して薬の処方期間を長くしてもらうなどして、何度も通わなくてもよい工夫をしましょう。
またじんましんなどのアレルギーがある場合は、事前にアレルギー検査を受けて、アレルギー抗薬等を処方してもらっておくなど、症状が出たときに救急医療に頼らなくてもよい工夫をしましょう。
うちも風邪をひいたときに処方されて余った薬は、薬の使用期限内であれば全部とっておくようにしているわ。
田舎では秋に草刈りなどでスズメバチに刺される人が多く、アレルギーがある人はアナフィラキシーショックで急激に重篤な症状に陥ることもあるよ。
近くの診療所などで抗アレルギー薬の点滴を受けることもできるけど、病院が遠く心配な人は、事前にハチアレルギーの検査を受けることをおススメするよ。
もしハチに刺された時の危険度が高い人は、事前にエピペンなどの抗アレルギー薬を処方してくれるよ。
僕もアレルギー体質だから病院でハチのアレルギー検査は受けたよ(検査料4000円程度)。
ハチの種類ごとにアレルギーの有無を検出してくれるよ!
まとめ
風邪などの病気になった時は、大病院や小児科がなくても近くの小さな病院や診療所で対応可能なことがほとんどです。
まずは信頼できる「かかりつけ医」を見つけましょう。
但し消防署が遠かったり救急病院がないことから、急患や夜間診療が必要な場合に病院へたどり着くまでに時間がかかってしまうことがあります。
よって車の運転は必須といえます。
日ごろから病院にかからないよう、病気の予防に重点を置き、規則正しい生活を送りましょう。
薬の処方などは医師と相談のうえ事前に工夫することができるはずです。
もし何かあってもなるべく「救急」にならないよう、準備をしておきましょう。
実際に無医地区に住んでみて、苦労したこともたくさんあったけど、病気にならないように日ごろから予防・準備をしておけば、そこまで恐れることはないという実感があるよ。
私は何よりも田舎暮らしでいいものを食べて、いい空気を吸って、いい水を飲んで、家族が健康であることが幸せだわ!
まさに備えあれば憂いなし。
何事も何かあったときの想定をして準備をしておけば、リスクは極限まで減らすことができるよ。
移住先の選定で病院のあるなしも大切な点だけど、それよりも家族が普段から健康で楽しく暮らせる環境であるかが大切だね。
皆さんの田舎暮らしに向けて何かの参考になるとうれしいです!